フィギュアスケートと町田樹とその他諸々
実はこれまでそこそこ長いこと自分はフィギュアスケートが好きだ、特に町田樹選手が好きだと思っていたのですが、ふいに疑問が頭を過ったのです。
お前本当はフィギュアスケートも町田樹選手も言うほど好きじゃないんじゃないの?
という具合に。今回はこのモヤモヤをなんとかしようと頭の中でグルグル考えていることを一度形にしてみようと思います。
私がフィギュアスケートを見だしたのは現在若手指導者、解説者として活躍している本田武史さん田村岳斗さんが現役バリバリの頃で、そこからしばらくテレビでやってたら見る程度のそれはそれはライトなファンだったのですが、そんな日々もある日終わりを迎えます。
そう、町田樹選手に出会ってしまったのです。
Jr.からシニアに上がったばかりの頃でしたが、技術も表現力もあり何と言ってもうまく言葉にできない抗い難い魅力の虜となって割と真剣にフィギュアスケートを見るようになったのでした。
しかし当時の日本男子シングルには高橋、織田、小塚というそれはそれは高い壁があり町田選手は一般的には知名度の高い選手とは言えない存在。
積極的に表に出て行かない、人と交わらない私はTwitterを始めるまで町田選手のファンと交流を持ったことがない、否、Twitterを始めてもそこそこ閉じた世界にいたので町田選手のファンと交流を持つようになったのは2013-2014シーズンに入ってから。
シーズンが始まり、町田語録と言われるような独特の世界観、安定した高い技術、卓越した表現力によりそれまでが信じられないほどのスピードで知名度が上がってファンが増えていきました。
もう、うっはうはです私。大好きな町田君が超超人気者に!
町田君いいよね!と言えばすぐさま反応があり盛り上がる。そう、俗に言う町田沼なるものの発生です。
沼の方々はそこそこ濃く、そして町田選手を愛し尊敬し大切にしています。全員が一部熱狂的ファンなのです。そんな方々と共に迎えたソチ五輪、みごと5位入賞を果たし世界選手権での活躍がそりゃーもう期待されました。
ぶっちゃけ私は町田君が優勝すると本気で思っていたのです。
そして世界選手権でのSPエデンの東…今季最高の出来で首位折り返し。もう私的には町田君の首に金メダルがぶら下がって見えていました。
町田君は2012-2013シーズンもGPシリーズが好調でGPFにも出場しましたがその頃から調子が崩れだし続く全日本選手権でも絶不調。世界選手権など夢のまた夢みたいな状態でシーズンを終えたのですが、そこから一年。素晴らしい、素晴らしい飛躍でした。
うれしさのあまり人生で初めて泣き崩れるという経験をした私はしかしFPでは全く喜べなかったのです。PBを更新するような火の鳥にも関わらず、4T、3Aをそれぞれ2回入れたプログラムを大きなミスなく滑りきったにも関わらず、本人も悔いがないと言っていたにも関わらずです。
喜ぶどころか怒ってたんです。
周りを見渡せば皆喜びに満ちてました。表彰式、インタビュー、スモールメダル授与式、EX…町田君もファンのみんなも喜び達成感で満ちあふれているそんな風に見えます。実際そうだったのでしょう。
そんな中0.33点差に絶望し、これじゃ羽生に勝てないと勝手に落ち込む自分。ここで最初に挙げた疑問を生み出すタネが一つ形成されたのでした。
今季の試合も全日程を終えて、現在はアイスショーがそこかしこで行われています。一躍人気選手となった町田君も当然過密スケジュールにも関わらず、西へ東へ南へ北へ引っ張りだこです。もちろん至るところで素晴らしいプログラムを滑ることで更にファンを魅了し続けてます。
そしてその様子は当然テレビで放映されました、試合用から振り付けを変えて披露されたエデンの東。
美しいです、でも美しいのその先がない。ないというか感じられない。
何人かの方とTwitterでやり取りをする中で、EXは試合の緊張感からの解放がある方が(私は)より楽しめる、という結論に達し、そしてそれは好みの問題なのでこれ以上はどうにもならないし、解決方法なんかないのです。
が、しかし、なぜ大好きな町田君のショーナンバーがこうも胸を打たないのか?
あんなに美しいプログラムなのに、もう一度見たいと思えないのか?震えるような感動がないのか?
それはもはや試合の緊張感が無いからなどという話ではないのではないか?
試合もショーも同じフィギュアスケート。
自分は果たしてフィギュアスケートファンなのか?町田樹のファンなのか?疑問の種は大きくなるばかりです。
ディープすぎてそこまでいっているのでは?と言ってくれた方もいます。果たしてそうなのか?
ここでふっと自分に問うてみたのです。
2014-2015シーズンも今季と同じような終わり方をしたら?
また僅差で銀メダル、でもやりきった悔いはない。
しかし優勝した選手は自分のできに納得がいかない、どうしても町田君に勝ちたかった!と言ったら?どうなの?あんたどうなの?と。
そして気がついてしまったのです、これって自分が一番嫌ってる応援のしかたなんじゃないの?と。
私は常々、「試合後に○○は不当な減点をされている」とか「○○選手が勝つように得点調整がされている」、または真央の3Aについて「挑戦することを最大限評価しろ!」「ジャッジの頭が回転不足」なんていうような事を言っている一部ファンがはっきり言って気持ち悪いし大っ嫌いだと思っていました。
あの方々の
自分の好きな選手が常に勝者でなければ気に入らないところ、自分の好きな選手を褒めるために他の選手を誹謗中傷する様子を見るにつけ、きっと本当の意味では選手のファンでもスケートのファンでもないのだろうと考えていました。
だけどちょっと待ちな、これってお前町田君に同じことやってるやん?町田君勝たな納得しないやん?みんなみたいにいいものはいいって素直によろこんでないやん!
そう、そうなんです。つまりは同族嫌悪だったんですね。
そんな思いがどっかしらに、堂々と表面には出ていなくても存在していることをわかっていて、気がつかないふりをしていたんですね。
そして、それに気づかないふりをできなくなった今、改めて自分はフィギュアスケートも町田樹選手もいうほど好きじゃないと思ってしまうのは勘違いでもなければ、仕方のないことなのだと途方に暮れる←イマココ!状態なのでした。
さて、この先自分はどうやってフィギュアも町田君にも向き合って行くのかと考えると、割にお先真っ黒焦げなんですが、どうしよっかな。
はぁ〜あ。
【追記】
コンペ用のエデンの東と、ショー用のエデンの東でなぜこうも感じ方が違うのか?問題は無事解決しました。
わかりにくい喩え話をすると
「なんで俺のからあげに勝手にレモンかけちゃうんだよ!」
と怒っていたら実はそれは唐揚げではなく、鶏のレモンソースであってからあげではありませんでした!鶏のレモンソースもうまいけど、からあげには負けるんだよ!
ということです。わかりにくいですね。
コンペ用がティムシェルに至る過程とするならば、ショー用はティムシェル後。
一つの作品をアレンジではなく、その続編。そう捉えることで(その解釈が正しかろうが間違っていようが)すっきり、さっぱり解決完了。